高校1年生で中退してから、約20年。
求人サイトで「高卒以上」の4文字を見つけては、そっと画面を閉じる。
そんなことを、20年やってきました。
その私が2023年4月、30代でS高等学校のネットコースへ入学し、2026年3月に卒業しています。

高校って、そもそもいくらかかるんだっけ。

20年ぶりに調べ直しました。だいたい忘れています。
結論から書きます。
S高のネットコースに私が払った学費は、1年あたり実質63,000円でした。
月にすると約5,250円。スマホ代です。
ただし、ひとつ落とし穴があります。
そのお金が戻ってくるのは、1年後です。
先に243,000円を払います。
「実質63,000円」という言葉だけを信じて申し込むと、初手で財布が死にます。
- 実際に振り込んだ金額と戻ってきた金額
- 支援金が届くまでの1年間の乗り切り方
- 学費とは別に必要だった費用
- 30代でも就学支援金を使える理由
- 3年間の総額と月あたりの負担
広告やパンフレットの数字ではなく、私の通帳を通った金額をそのまま書きます。
30代が払ったS高の学費の実額

まずは金額から出します。
毎年振り込んでいたのが243,000円。
戻ってきたのが180,000円。
差し引き63,000円。
これが3年間、ほぼ同じでした。金額の話は先に済ませたほうがいいと思うので、振込額・還付額・自己負担の順に見ていきます。
入学時に振り込んだ243000円
入学手続きで最初に必要だったお金は、243,000円でした。新年度が始まる前の3月中に、指定口座へ振り込みます。
ここが重要です。
この時点で、就学支援金はまだ1円も引かれていません。
「実質6万円台で通えます」という情報を先に読んでいると、請求額を見て一瞬固まります。
6万円台の話は、1年後に来ます。
- 入学前の3月に一括で必要
- 支援金が引かれる前の満額
- 用意すべき現金は約24万円
当時の私は、中古品販売(せどり)で生計を立てていました。時間の融通は利きます。収入は月によって上下します。
24万円をまとめて用意するのは、軽い話ではありませんでした。
後から戻ってきた180000円
払った243,000円のうち、180,000円は1年後に戻ってきました。国の高等学校等就学支援金という制度が、授業料にあたる部分を負担してくれるからです。
問題はタイミングです。
2023年3月に振り込み、180,000円が口座に入ったのは2024年3月。
ちょうど1年、立て替えていました。
就学支援金は「割引」ではありません。「後払いの返金」です。
ここを勘違いすると、初年度の資金計画が丸ごとずれます。
| 時期 | お金の動き | 金額 |
|---|---|---|
| 2023年3月 | 1年目の学費を振込 | −243,000円 |
| 2024年3月 | 1年目の支援金が還付 | +180,000円 |
| 2024年3月 | 2年目の学費を振込 | −243,000円 |
| 2025年3月 | 2年目の支援金が還付 | +180,000円 |
| 2025年3月 | 3年目の学費を振込 | −243,000円 |
| 2026年3月 | 3年目の支援金が還付 | +180,000円 |
実質負担63000円という結果
243,000円から180,000円を引くと、残りは63,000円。
これが1年分の、本当の学費でした。
月あたり約5,250円。スマホ代とだいたい同じか、少し安いくらいです。
ただし、条件は正直に書いておきます。
私は在学中ずっと実家暮らしでした。家賃も光熱費も払っていません。
一人暮らしの方や、家族を養っている方より、時間もお金も余裕があったはずです。
なので「誰でも余裕です」とは言いません。
この条件の人間が、こうだったという話です。
| 項目 | 1年あたり | 3年間の合計 |
|---|---|---|
| 振り込んだ金額 | 243,000円 | 729,000円 |
| 戻ってきた金額 | 180,000円 | 540,000円 |
| 実質の自己負担 | 63,000円 | 189,000円 |
3年間の合計でも189,000円。中古の軽自動車1台より安く、高卒資格が手に入りました。
20年間、「高卒以上」の4文字で候補から外れ続けた人間としては、かなり悪くない買い物です。
S高ネットコースの学費の内訳

次に気になるのは、243,000円の中身だと思います。
先に正直なところを書きます。
S高はネットコースの詳しい料金表を公式サイトで公開していません。資料を取り寄せないと、正確な内訳は分かりません。
私も、振り込んだ総額と戻ってきた金額しか記録に残していませんでした。
領収書を几帳面に保管するタイプの人間ではありませんでした。

なので、通信制高校に共通する4つの費目から、お金がどこへ消えたのかを整理します。
入学時だけ必要な入学金
入学金は、名前のとおり最初の1回だけです。2年目以降は請求されません。
通信制高校では1万円から5万円程度の例が多く、そして就学支援金の対象外。
つまり、確実に自腹です。
単位数で決まる授業料
S高のような単位制の通信制高校では、授業料は「1単位あたりの金額 × 履修する単位数」で決まります。そしてこの授業料が、就学支援金でカバーされる部分です。
私に戻ってきた180,000円は、ここにほぼ相当していたと考えられます。申請するかしないかで、負担が4分の1近くまで変わる計算になります。
高校卒業には合計74単位が必要です。3年で割ると、1年あたり25単位前後。
落とすと追加費用が発生します。この話は後でもう一度出てきます。
施設設備費と教育関連諸費
残る2つは、学習システムの利用料や事務手続きにあてられる費用です。金額は大きくありません。ただし、どちらも就学支援金の対象外です。
私の実質負担63,000円の正体は、たぶんこの入学金・施設設備費・教育関連諸費の合計でした。
授業料は支援金で消え、それ以外が残る。そういう構図です。
- 授業料 → 支援金の対象
- 入学金 → 対象外で自腹
- 施設設備費 → 対象外で自腹
- 教育関連諸費 → 対象外で自腹
単価も単位数も、年度によって改定されます。申し込む前に、最新の募集要項を自分の目で確認してください。無料で取り寄せられます。
私のときは、営業電話がしつこくかかってくることもありませんでした。
就学支援金で学費が下がる理由

ここまで何度も出てきた就学支援金を、まとめて整理します。
この制度を知っているかどうかで、3年間の負担は50万円以上変わりました。
そして、たぶん一番誤解されているのが年齢です。
「30過ぎたら対象外でしょ」と思って申請しない人がいます。もったいないです。
就学支援金の対象になる条件
高等学校等就学支援金は、高校の授業料を国が肩代わりしてくれる制度です。
最重要事項を先に書きます。
申請しないと、1円も出ません。
手続き自体は学校を通して行うので、難しくはありませんでした。案内に従って書類を出すだけです。
ただし期限を過ぎると、その年度分がまるごと消える可能性があります。書類を後回しにしがちな人ほど、ここは要注意です。
30代でも受け取れる根拠
結論。この制度に年齢制限はありません。
30代でも40代でも、高校に在籍していれば対象です。
私が入学したのは30代でしたが、問題なく180,000円が支給されました。
「今さら自分なんて」とためらう理由は、少なくとも制度の面には存在しません。
制度は、こちらの気まずさまでは見ていません。
2026年の所得制限の撤廃
ここからは、これから入る人の話です。
2026年4月から、就学支援金の所得制限が完全に撤廃されました。
私立の通信制高校は年額337,200円が上限で、単位制なら授業料は実質的に無償化される見込みとされています。私が在籍していた頃より、条件は良くなっています。
先に卒業した人間としては、少し複雑です。
| 区分 | 2026年度の支給上限 |
|---|---|
| 私立の通信制高校 | 年額337,200円 |
| 公立の通信制高校 | 年額144,360円 |
| 所得制限 | 撤廃済み |
ただし、支援金が増えても入学金や施設設備費は消えません。還付のタイミングも学校ごとに違います。
「無償化」という言葉だけを信じず、実際に振り込む金額を確認してください。
中退経験がある人の支給期間
中退した人が唯一気をつけるべきなのが、ここです。就学支援金には受け取れる期間の上限があり、以前に高校へ在籍していた期間もカウントされます。
私の場合、高校1年生のときに在籍していた分が記録として残っています。
3年間まるごと支給されると思い込んでいると、卒業間際で足りなくなる可能性があります。
とはいえ、これは事前に確認できる話です。出願の相談のときに「以前◯年◯か月ほど在籍していました」と伝えれば、学校側が残りの枠を計算してくれます。
20年前の話でも、記録は残っています。隠しても意味がありません。
学費以外にかかったお金

学費だけで予算を組むと、後から慌てます。
私が完全に見落としていたのが、スクーリングの旅費でした。
ネットコースは自宅学習が基本です。ただし卒業するには、決められた回数だけ対面授業に出る必要があります。
この移動費と宿泊費が、年によっては学費の実質負担額を超えました。
パソコンとネット環境の費用
ネットコースなので、パソコンとインターネット回線は必須です。スマホだけで3年間を走り切るのは、おすすめしません。
私はもともと持っていたWindowsのパソコンをそのまま使いました。なので、ここに追加の出費はゼロです。
最新機種である必要はありません。動画の授業が止まらずに再生できれば十分でした。
手元に1台もない場合は、中古で数万円を見ておくと安心だと思います。
スクーリングの旅費と宿泊費
最大の想定外がここでした。2年次には本校でのスクーリングがあり、交通費と宿泊費と食費がまとめて必要になります。
私の3年間はこうでした。
1年次と3年次は、全国にある拠点へ通う形。交通費と食事代だけで済みました。
2年次だけは本校へ行く必要があり、泊まりがけの遠征になりました。
- 1年次 → 全国拠点への交通費と食事代
- 2年次 → 本校への交通費と宿泊費と食事代
- 3年次 → 全国拠点への交通費と食事代
金額は住んでいる場所で大きく変わります。地方に住んでいるなら、2年次だけは交通費と宿泊費を別枠で積み立てておくのが現実的です。
学費の話をしているつもりが、途中から旅費の話になります。ここは本当に注意してください。
教材や課外活動の実費
教科書や教材にも実費はかかりますが、金額は大きくありません。
それより注意したいのが、単位を落としたときの追加費用です。
授業料は履修する単位数で決まります。取り切れなかった単位を翌年に持ち越すと、その分が追加で請求されます。働きながら通う人にとっては、現実的なリスクです。
逆に言えば、決められたレポートを期限内に出し続けるだけで、余計な出費は防げます。
私が3年間ずっと同じ金額で通えたのは、単に単位を落とさなかったからです。それ以上でも以下でもありません。
ちなみにテストは半分くらい赤点でしたが、追加レポートで単位は取れました。そのときの話はこちらです。
S高のテストは難しい?20年ぶりに受けた私の感想と勉強方法
他コースと他校の学費比較

S高にはネットコース以外の選択肢もあり、どれを選ぶかで金額が変わります。
結論から言うと、働いている人にはネットコースが一番現実的でした。その理由を、他のコースや他校と並べて説明します。
ネットコースと通学コース
通学コースはキャンパスに通って学ぶスタイルで、ネットコースの学費に通学分の費用が上乗せされる仕組みです。総額は当然、跳ね上がります。
しかも上乗せ分は、就学支援金の対象になりません。
友達がほしい、通う場所がほしいという目的があるなら価値はあります。費用を最優先するなら、ネットコース一択です。
そもそも平日に働いている人間が、決まった曜日にキャンパスへ通い続けるのは簡単ではありません。私がネットコースを選んだ理由も、半分くらいはこれです。
個別指導コースとの金額差
個別指導コースは、担当スタッフが学習の進み具合を細かく見てくれるサービスです。手厚いぶん、追加費用が発生します。
一人でレポートを進める自信がない人には向いていると思います。
私は最初かなり不安でした。20年ぶりの高校です。
実際にやってみると、期限に追われながらも自力で回せました。ただし古文と数学は、最後まで敵でした。
他の通信制高校との比較
通信制高校は全国にたくさんあり、公立と私立で費用の性格が違います。注意したいのは、安さだけで選ぶと逆転することがあるという点です。
学費が安く見えても、スクーリングが週に何度もあれば交通費で追い抜かれます。
逆に学費が高めでも、自宅から通える場所に会場があれば総額は抑えられます。
なので、気になる学校を2〜3校まとめて資料請求して、学費とスクーリングの条件を並べて見比べるのが確実です。無料ですし、比べてはじめて自分に合う条件が見えます。
働きながら学費を払う方法

最後に、一番現実的な話をします。
実質63,000円と分かっても、最初に用意するのは243,000円です。
この差をどう埋めるか。働きながら通う人にとっては、ここが本当の課題でした。
分割払いという選択肢
まとまった現金を一度に用意できないなら、分割払いに対応しているかを必ず確認してください。学校や年度によって扱いが変わります。
私は一括で振り込みました。もし当時それが無理だったら、迷わず学校に相談していたと思います。
お金の相談は恥ずかしいことではありません。学校側は、この手の事情に慣れています。
還付までのお金の作り方
支援金が戻るまでの1年間は、180,000円を立て替えている状態です。ここを甘く見ると、生活が回らなくなります。
私の場合は、せどりの利益を生活費と分けて確保しながら用意しました。
働いてつなぐ。結局のところ、これが一番確実でした。
そして2年目から、景色が変わります。
3月に180,000円が戻り、同じ月に次の243,000円を払う。
実際に用意するのは、差額の63,000円だけになります。

| 年度 | その月に必要だった現金 |
|---|---|
| 1年目 | 243,000円 |
| 2年目 | 63,000円 |
| 3年目 | 63,000円 |
バイト代での月割りの目安
実質負担63,000円を12か月で割ると、月あたり約5,250円。アルバイトなら、数時間分のシフトで出る金額です。
初年度の243,000円にしても、月2万円ずつなら1年で貯まります。「来年の春に入る」と決めて今日から積み立てれば、届く範囲だと思います。
私が20年動けなかったのは、お金がなかったからではありませんでした。
いくら必要なのかを調べないまま、なんとなく「高い」と決めつけていただけです。
調べるだけなら、無料でした。
S高の学費のよくある質問

入学を検討していた頃に、私が実際に調べたり学校へ聞いたりした内容をまとめます。
制度の細かい部分は年度で変わります。最終的な判断は、必ず最新の募集要項で確認してください。
ここでは、経験者としての実感を添えて6つ答えます。
30代からの入学の可否
入学できます。通信制高校に年齢の上限はありません。私自身、30代で入学して卒業しています。ネットコースなら周囲の視線を気にする場面もほとんどなく、年齢で困ったことはありませんでした。
学費の分割払いの可否
年度や学校によって対応が分かれるので、出願前の相談時に確認してください。私は一括で振り込みましたが、支払い方法の相談に乗ってもらえるケースはあります。まとまった資金がない段階でも、聞くだけ聞いてみる価値はあります。
就学支援金が戻る時期
私の場合は、振り込んだ1年後の3月に戻ってきました。3月に払って、翌年の3月に返ってくるサイクルです。最初から割り引かれるわけではないので、その間の生活費は自力で確保しておく必要があります。
途中でやめた場合の返金
返金の扱いは、退学する時期や学校の規定によって変わります。支援金も在籍していた期間に応じた支給になるため、年度の途中でやめると受け取れる額は減るのが一般的です。細かい条件は募集要項に書いてあるので、入学前に読んでおくと安心できます。
学費が払えないときの対処法
黙って諦める前に、学校へ相談してください。自治体独自の授業料支援や、教育ローンが使える場合もあります。一人で抱え込んで入学を見送るのが、一番もったいない選択です。私は20年それをやりました。
卒業までにかかる総額
私の実績では、3年間で振込が729,000円、還付が540,000円。差し引きの実質負担は189,000円でした。これに加えて、スクーリングの旅費が必要になります。単位を落とさずに進めば、だいたいこの範囲におさまるはずです。
S高ネットコースの学費のまとめ

中卒のまま20年を過ごした私が、S高のネットコースで高卒資格を取るまでに払った実質の金額は、3年間で189,000円でした。月にすると約5,250円です。
20年ずっと高い壁だと思っていたものの正体は、月5,250円でした。
- 毎年の振込は243,000円
- 1年後に戻る支援金は180,000円
- 実質の負担は年63,000円で月5,250円
- 3年間の総額は189,000円
- 別枠でスクーリングの旅費が必要
- 支援金に年齢の制限はなし
中卒で困ったのは、仕事ができないことではありませんでした。
「高卒以上」の求人が、最初から候補に入らないことです。
選べる仕事が減る。それだけです。それだけが、20年ずっと引っかかっていました。
今のあなたに必要なのは、入学を決めることではないと思います。
まず資料を取り寄せて、今の学費がいくらなのかを自分の目で見てください。無料です。10分もかかりません。
数字が見えると、「無理かもしれない」が「これなら払えるかもしれない」に変わります。私の場合、そこから卒業証書を受け取るまで3年でした。
最後にひとつだけ。
3年通って分かったのは、「単位を取ること」と「ちゃんと学ぶこと」は別だったということです。
卒業はできました。古文は、いまだに読めません。

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